危険物取扱者の最高区分である「甲種」。
甲種危険物取扱者には受験資格があるため、誰でもいきなり受験できるわけではありません。
しかし、大学で化学を専攻していなくても、乙種危険物取扱者を指定された4種類取得すれば、甲種の受験資格を得られます。
では、乙種のどの種類を取得するのがおすすめなのでしょうか。
この記事では、甲種の受験資格を得るためにおすすめの乙種の組み合わせ、おすすめのテキストと効率的な取得順を紹介します。
甲種の受験資格に必要な乙種は4種類
乙種危険物取扱者には、第1類から第6類までの6種類があります。
甲種の受験資格を得るためには、次の4グループからそれぞれ1種類以上の免状が必要です。
| グループ | 必要な免状 |
|---|---|
| ① | 乙1または乙6 |
| ② | 乙2または乙4 |
| ③ | 乙3 |
| ④ | 乙5 |
つまり、乙種を適当に4種類取得しても、甲種の受験資格を得られるわけではありません。
例えば、乙1・乙2・乙4・乙6の4種類を取得しても、乙3と乙5がないため、甲種の受験資格は得られません。
一方で、乙1・乙3・乙4・乙5の4種類なら条件を満たします。
おすすめの組み合わせは乙4・乙6・乙3・乙5
私がおすすめする組み合わせは、次の4種類です。
乙4+乙6+乙3+乙5
| 種類 | 危険物の分類 | おすすめする理由 |
|---|---|---|
| 乙4 | 引火性液体 | 実用性が高く、教材も豊富 |
| 乙6 | 酸化性液体 | 学習対象が比較的まとまっている |
| 乙3 | 自然発火性物質・禁水性物質 | 甲種受験資格に必須 |
| 乙5 | 自己反応性物質 | 甲種受験資格に必須 |
それぞれについて解説します。
① 最初は乙4がおすすめ
最初に取得する資格としておすすめなのが、乙種第4類、いわゆる乙4です。
乙4は、ガソリンや灯油、軽油、アルコール類などの引火性液体を扱う資格です。
ガソリンスタンドや工場など、さまざまな職場で活用できるため、乙種の中でも実用性の高い資格です。
また、乙4は参考書や問題集が豊富で、独学でも取り組みやすいというメリットがあります。
乙種を初めて受験する場合には、法令、物理・化学、危険物の性質について勉強する必要があります。
最初に乙4で基礎をしっかり身につければ、その後の乙種試験にも役立つでしょう。
② 次は乙6がおすすめ
乙4を取得したら、次は乙6がおすすめです。
乙6は、硝酸や過酸化水素などの酸化性液体を対象とする資格です。
甲種の受験資格を得るには、乙1または乙6のいずれかが必要となります。
では、どちらを選べばいいのでしょうか。
| 比較項目 | 乙1 | 乙6 |
|---|---|---|
| 分類 | 酸化性固体 | 酸化性液体 |
| 主な危険物 | 塩素酸塩類、無機過酸化物など | 硝酸、過酸化水素など |
| 学習の特徴 | 対象となる品名が比較的多い | 対象となる品名が比較的少ない |
| おすすめする人 | 固体の酸化性物質も学びたい人 | 学習範囲を絞りたい人 |
個人的には、受験資格を得ることを優先するなら乙6がおすすめです。
乙6は対象となる危険物の品名が比較的少なく、勉強する範囲を整理しやすいからです。
もっとも、乙6が乙1より必ず簡単というわけではありません。性質や消火方法の理解も必要です。
乙1の危険物に仕事上の関係がある人は、乙1を選んでもよいでしょう。
③ 乙3は必ず取得する必要がある
乙3は、自然発火性物質および禁水性物質を取り扱う資格です。
例えば、
- カリウム
- ナトリウム
- 黄りん
- アルキルアルミニウム
などが対象になります。
これらの物質には、空気中で自然発火したり、水と反応して危険を生じたりするものがあります。
乙3については、甲種の受験資格を取得するために代わりとなる類がありません。
甲種を乙種4種類ルートから目指すなら、乙3は必須です。
そのため、早めに取得してしまうのがおすすめです。
④ 最後は乙5を取得しよう
乙5は自己反応性物質を取り扱う資格です。
有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物などが対象になります。
乙5も、甲種の受験資格を得るうえで必須の資格です。
乙5では、危険物ごとの性質、取扱方法、火災予防、消火方法を整理して覚えることが重要になります。
乙4・乙6・乙3まで取得していれば、危険物の学習にもかなり慣れているはずです。
最後に乙5を取得することで、甲種の受験資格を得られます。
乙種は1種類取得すれば次から試験科目が免除される
乙種を複数取得する場合に知っておきたいのが、試験科目の免除制度です。
乙種危険物取扱者の免状をすでに持っている人は、他の乙種を受験する際に、
- 危険物に関する法令
- 基礎的な物理学及び基礎的な化学
の2科目が免除されます。
そのため、受験するのは「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」の10問だけになります。
試験時間も35分です。
| 項目 | 初めて乙種を受験 | 乙種免状取得後 |
|---|---|---|
| 法令 | 15問 | 免除 |
| 物理・化学 | 10問 | 免除 |
| 性質・消火 | 10問 | 10問 |
| 合計 | 35問 | 10問 |
| 試験時間 | 2時間 | 35分 |
つまり、最初の乙4を取得したあとなら、残りの乙種はそれぞれ10問の試験で済むわけです。
これは大きなメリットでしょう。
ただし、乙種試験に合格しただけでは免除を受けられません。免状の交付を受けていることが必要なので注意してください。
乙種4種類の取得にはどれくらい時間がかかる?
乙4を取得したあと、残りの3種類は科目免除を利用できます。
そのため、乙4の勉強に最も時間をかけ、その後は各類の性質や消火方法を集中的に勉強するという方法が効率的だと思います。
ただし、実際に4種類を取得するまでの期間は、試験日程や免状の交付時期によって変わります。
地域によって試験日程も異なるため、受験予定地の試験日を事前に調べておきましょう。
また、自治体や日程によっては複数の乙種を同時に受験できる場合もあります。
甲種を目指すなら乙種4種類の勉強は無駄にならない
乙種を4種類取得するのは、少し遠回りに感じるかもしれません。
しかし、甲種では第1類から第6類までのすべての危険物が試験範囲になります。
乙種4種類を勉強しておけば、甲種試験の「危険物の性質」に関する科目の基礎知識を蓄積できます。
そのため、単に受験資格を取得するだけでなく、甲種の試験勉強にもつながるというメリットがあります。
もっとも、乙種で勉強していない類も甲種では出題されます。また、甲種では法令や物理・化学についても改めて勉強が必要です。
乙種4種類を取得したからといって、甲種に簡単に合格できるわけではないことは押さえておきましょう。
大学で化学系科目を履修しているなら先に確認しよう
ここまで乙種4種類を取得する方法を紹介しましたが、大学などで化学に関する授業科目を15単位以上修得している場合などは、乙種を取得しなくても甲種を受験できます。
理系の大学を卒業している人は、まず履修科目を確認してみることをおすすめします。
すでに甲種の受験資格を満たしているのであれば、乙種4種類を取得する必要はありません。
甲種の受験資格については、別の記事でも詳しく解説しています。
まとめ|乙種から甲種を目指すなら乙4・乙6・乙3・乙5がおすすめ
甲種危険物取扱者の受験資格を乙種4種類で取得するなら、私がおすすめする組み合わせは、
乙4 → 乙6 → 乙3 → 乙5 → 甲種
です。
最初に乙4を取得すれば、その後は試験科目の免除を利用できるため、効率的に資格を増やすことができます。
ただし、乙1と乙6、乙2と乙4については、仕事での活用や学習しやすさに応じて選んでも問題ありません。
また、大学で化学に関する科目を15単位以上修得している人などは、最初から甲種を受験できる場合があります。
自分に合ったルートを選び、無理なく甲種取得を目指しましょう。


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